王様ペンギンの本棚

パニグレ創作物置場(主にSS)として活用中です。

年下の恋人<クロ指>

私には年下の恋人がいる。
正確には精神年齢が19歳。
実際には士官学校の先輩でもあるから人間として存在するなら年上になったはずの彼。
構造体となった彼の時は19歳のまま止まっているが戦歴、知識は格段に上なので叱られるこ事も多いしっかり者の年下の彼。
今日、何故かほかの部隊のはずの彼、ストライクホーク隊長の彼が私の補佐を務めてくれている。
本来、ルシアの当番だったはず・・・なのに朝、執務室に来たら彼がいた。
少し驚いたが、今日は溜まりに溜まった事務を片付けなければならない日・・・事務処理に長けているクロムがいると事務が捗るので交代の理由を特には聞かなかった。
その後無駄話もせずに事務処理決裁を黙々と進めているとクロムがチラチラとこちらを伺っているのが目に入った。
時刻は15時前、軽めの昼食を食べてから少し小腹が空いたなと感じた私は事務用タブレットの画面を閉じる。

「クロム、休憩にしないか?」
「はい指揮官、私もそうしたいと思っていました」

なんだチラチラ見ていたのは休憩の時間を伺っていたからかと手を止めてコーヒーを用意しようと立ち上がりかけた私を遮るようにクロムがミニキッチンに足早に行った。
何やらミニキッチンでゴソゴソと用意をした後、執務室の休憩スペースに小さなワゴンを押して現れてから立ち止まり一礼。
呆気にとられた私を他所に、上品な所作で茶器を用意し始めた彼を感心しつつ燕尾服を着せたら執事みたいだと見惚れているとクロムの頬が薄らと赤いのに気付く。
クロムは何でも完璧なんだけどこういう時、年下なんだなぁと思って可愛く見えちゃうなどと考えているとクロムが私に視線を向け説明を始めた。

「今日は特別な日なので人気のスィーツを少しずつ用意しました・・・苺タルト、マカロン、スコーン、サンドイッチ……」

三段のティースタンドには1番上はいちごタルトとマカロン、2番目にはスコーン、3段目にはサンドイッチが1口サイズに並び英国のアフタヌーンティーセットに私は面食らった。

何だって?待て待て待て?執務室は紙の書類はあまり無いとはいえども構造体のパーツ、武器は壁面に並んでいる。
机だって椅子だって事務的な使いやすさ重視の部屋の片隅にある味も素っ気もない休憩スペースに開かれた英国風ティーパーティーに私は頭を抱えたい気持ちになった。
それに今日は特別な日?なんだろう・・・今日、何か重大な記念日だったか?
6月12日・・・6月12日・・・
クロムの誕生日は来月だ・・・し私の誕生日でもない。
それに今日は祝日でもなく何の変哲もない日だ。
いや・・・何か重大な事を忘れているのかもしれない・・・と嫌な汗が出てきた。

「女性はこういうイベントを大事にすると聞きました・・・」
「ハイ、ソウデスネ」

私は緊張のあまりに片言になってしまう。
なんだ?付き合って何ヶ月とかか!
どうだった?思い出せ!首席の実力を見せる時だ・・・!
訳の分からない応援を自分に向けたが答えは一向に出ない。

「私は女性と付き合うのも初めてなので至らないところが多い・・・君に嫌われたくはないのです」

金髪碧眼の王子様のルックスで訴えかけられた私の心臓はバクバクと脈打ち顔色の悪い私を見てクロムが納得したように頷いてから言った。

「君は・・・知らないのですか?」
「クロム・・・ごめん!特別な日って何?私、知らなくて」
「そうですか・・・君も知らない日を知っている」
「あの・・・こんな素敵なアフタヌーンティーセットだから・・・紅茶の日?とか?」
「違います」
「ふぇ・・・降参します・・・」

クロムは紅茶入れて私には渡してくれた。
飲むようにと無言で促され一口飲む。
ダージリンのふくよかな香りを楽しんでいると引き続きタルトとマカロンを皿に取り分けられる。
タルトを一口頬張りあまりの美味しさに頬っぺが落ちるというのはこの事かと思いつつ夢中で口に運ぶ。

「指揮官」
「うん」
「今日は恋人の日らしいです」
「そうなの?」
「ええ恋人同士が愛情を深めるために贈り物をしあう日だとか」
「えっ・・・知らなくてごめんなさい」

しゅんと小さくなる私にクロムの視線が痛い。

「食いしん坊の君への英国風アフタヌーンティーが私の贈り物なんです、お気に召しましたか?」
「うん!ティースタンド付きのお茶なんて軍に入ってから初めて・・・すごく美味しかった・・・」
「それは良かったです」
「うん私からの贈り物は今度用意するね!」
「今度・・・」
「うん、今日は用意してないから」

更に小さくなる私を見る彼の視線が痛い。

恋人の日はあまり知られてませんから・・・でも今日がいいです」
「え?定時上がりしてから買い物とか?」

どうしようかと首を捻る私の隣に彼が座った。

「贈り物は私が選んでも?」
「うん私が買える範囲のものなら、なんでも!」
「なんでも・・・」

なんでもと呟いてから真っ赤になる彼を私は可愛いなぁと思いほっこりとした気持ちで見つめていた。

「君は自分の発言に責任を持つべきです」
「うん?任せて!私ができることなら何でもするよ!」
「指揮官、君がいいです」
「はい?」
「君の時間を頂いても?」
「え!まだ執務時間だし!さすがに執務室は・・・!」
「全く、君は何を考えているんですか・・・先程の決裁が今日の最後の書類でした早退の申請は受け付けられていますし明日はお休みです」
「そうなの?クロムは凄いね」

色々手を回された感はあるがクロムが私との時間を作るためにしてくれた事が嬉しくて頬が緩んでしまう。

「指揮官、行きますよ」
「え?もうちょっとお茶しないの」
「求めるものは・・・今、目の前にあります」
「うん」
「ここでは君は許してくれないでしょう」
「うっ、うん」
「だから行きますよ」

早口で薄らと赤い顔を隠すクロムに私は恥ずかしいやら嬉しいやら複雑な表情をしてしまった。

私のしっかり者の年下の恋人はとても可愛らしい。

でもベットの中まで可愛らしいかどうかは私だけが知っていればいい事だ。

おしまい

ゲームの時間<クロ指>

「はぁ・・・」

指揮官はため息をついてソファに膝を抱えて小さくなっていた。
クロムが部屋に入ったことを気付いているのかいないのか分からないが指揮官の様子がいつもと違うので声をかけるのを躊躇ったクロムは遠くから指揮官を観察していた。
膝を抱えたままの指揮官はまだ軍服のままで着替えもしていないようだ。
今日は仕事が終わったら映画デートに行く約束をしていたがそんな空気じゃないなとクロムは指揮官に声をかける。

「指揮官、どうされました?」
「クロム・・・ゴメンちょっと色々あって・・・自分が不甲斐ないって・・・はぁ・・・」

珍しくシュンとしてる指揮官にクロムはコクコクと頷き頭を一撫でする。
指揮官は若い故に上官に目をつけられることが多いと聞いた事がある。
実際、軍の中にいると様々な情報が流れてくるものだ。

“若いくせにちょっと活躍してるから生意気だ”
“構造体贔屓”

出る杭は打たれる、近くで指揮官を見ていた自分には分かっていた、彼女が持って生まれた天賦の才に加えそれ相応の努力をしてきた事を・・・きっと何か嫌な事があったに違いない。

「指揮官、今日のデートはまた今度にしましょう何があったのですか?」

隣に座ると指揮官は膝を抱えたまま首をこちらに向ける、少しだけ見上げるように自分を見た指揮官の瞳は潤み・・・クロムはドキッとしたが涙が滲む姿に怒りがふつふつと湧いてきた。
自分の大事な人を泣かせた事を後悔させてやろう・・・そのためには泣かせた相手と理由を聞かなければとクロムは口を開いた。

「指揮官、単刀直入に聞きます誰が君を泣かせたのですか?」

ピクンと肩を震わせる指揮官の頬を両手で包み込むようにしてからこちらを向かせる。

「クロム私が悪いんだ・・・未熟で自分の力不足が悔しくて・・・!」
「大丈夫です私が君の仇を取ってみせます。誰が君を泣かせたのです?」
「誰って・・・一人じゃなくて」
「多勢に無勢ですか?卑怯な!」
「でも弱い私が悪いから」
「君がそんなに気弱になるなんて何があったのです?」

クロムの質問に指揮官が軍服のポケットから小さな小型タブレットを取り出した。

「これは・・・?」
「うんパニックグレイって知ってる?」

「はぁパニグレ・・・カムイがハマっているゲームですね?」
「うんコンシューマーからパソコンのオンラインまで幅広く展開されててカムイに誘われてグレイレイヴン隊みんなでやる事になって」
「はい」
「それでパニグレってキャラを自分好みに作れるんだよね」
「はぁ」
「私!頑張ったんだよ?白い僧侶服っぽいのがクロムの戦闘服に似てるの見つけて髪も金髪で目はスカイブルー、髪型も似せて・・・完璧なクロムを作った!」
「君の頑張りは分かりましたが、それで?」
「私・・・壊滅的にアクション系ダメみたいでゲームそもそもやらないからカムイとリーとリーフ、ルシア、私で戦いに行くことになって・・・」
「はぁ、それと君の涙の繋がりが分かりません」
「私、弱くって・・・みんなに指揮官は何もしないでください!って・・・でも頑張ろうかなって戦ってみたらクロム(ゲームキャラ)即死させちゃって」

ぐずぐずと涙ぐみながら話す指揮官にクロムはうっかりキュンとしてしまった。
ゲームで自分のキャラを作ってくれたこと、そのキャラが死んでしまったことが悲しくて涙ぐむ彼女が可愛くて。
無言になったクロムは通信機を操作し始め、その様子を指揮官が伺うように見つめている。


「カムイか?15分後にオアシス平原に集合だリー、リーフ、ルシアも参加するように連絡しておくように」

通信の終わったクロムに不安そうな顔をした指揮官が声をかけた。

「クロム?」
「15分後に戦いに出ますよ、さぁ気持ちを切り替えて」
「ふぇクロム・・・私・・・無理・・・死んじゃう」
「私が操作します大丈夫、君の勝利のために全力を尽くします」
「クロム強いの?」
「ストライクホーク隊は定期的にゲーム大会開いてます隊長ですからね?そこそこやりますよ」

ぱぁっと顔を綻ばす指揮官にクロムがニッコリと微笑み返す。

15分後、共闘プレイで完勝したクロムは指揮官に尊敬の眼差しを向けられてご満悦だったとか・・・。

おしまい

眠姫に口付けを<クロ指>

朝の4時30分に起床、朝の日課はパルス刺激訓練とランニング5キロ、空中庭園ブリッジまで着けばランニング完了。
それから誰よりも早く基地に入りストライクホーク隊の執務準備に入る・・・が隊長であるクロムの今までの生活。

コホン───
部屋の前で一つ咳払い、この瞬間はいつも慣れないなと緊張しながらドアをノックする。
コンコンコン・・・反応無し。
この部屋にはインターホンもあるのでクロムは勇気を持って押してみる。
チリリリン♪♪♪
可愛らしいベルの音はあの人には無駄だったようだ。
これも毎朝のルーチン、はぁと天を仰いだクロムは鍵を取り出した。
カードキーを差し込み暗証番号を打ち込む暗証番号は0731気恥しいけど自分の起動日を打ち込んだ。
ピッ!
音と共に施錠解除された部屋に入る、窓際に設置された大きめのベットに部屋の主であるグレイレイヴン隊の指揮官殿は就寝中で・・・起きる気配が全くない。

「指揮官は朝が苦手なのですか?」
「えへへ・・・ほら低血圧って事でダメかな?」
「君が低血圧ではないのは知ってます」
「だって起きれないんだもんリーくんの目覚ましロボ落としちゃってから調子悪いし・・・こう目覚ましがなる前にピッと目覚ましを止めて起きるのあるじゃない?」
「あぁドラマとかの?」
「そそ、それにチャレンジしてみたいなぁって」
「・・・・・失敗する確率が1パーセントあるならそれは100パーセントと変わらない、以前そう伝えましたね?失敗する確率は如何程とお考えですか?」
「もークロムったら彼氏になっても厳しぃー50パーセントかな?」
「私の予測は80パーセントです」
「クロム・・・私に厳しくない?」
「厳しいのは君が心配だからです、明日から執務前にお迎えに上がりますから自主的に起床出来るようにお願いします」

私が指揮官を起こしに来るようになった経緯をを反芻すること数分、就寝中の愛しい人は目覚める気配が全くない。

数歩ベッドに近づく、彼女は微動だせずに抱き枕にしがみついて幸せそうに眠っている。
安心しきった顔で眠る彼女にクロムは少し不安を覚えた。

クロムは自身も首席だった事もあるせいか規律と秩序を重んじる傾向が強い。
常に完璧であり続けようと生きてきた。
それは自分の意思ではなく父の影響だったのか今ではよく分からなくなったがランストンだった頃の私は決して秀でた才能などなかった。

生まれ持った才能・・・なんてくだらない表現だろう。
私は天才ではなく非凡な才能は皆無、凡庸な資質を極限にまで鍛え上げただけだ。
周囲の者がランストンは才能がある、天才だ、あいつは人より抜きんでている・・・そう表現されることが多かった。
実際はただ努力で補っていただけ、ただそれだけで完璧なスミスを目指していた空っぽのランストン。
その証拠に指揮官試験に落ちた。
完璧なスミスであろうとしたランストンのメッキが剥がれた瞬間だった。

また数歩、指揮官に近づく。
全く起きる気配がないのに不安が大きくなった。

同じく首席で卒業した彼女、自由奔放で構造体を人と同じに見てくれる彼女にいつしか惹かれ好きになってしまった愛しい人をじっと見つめる。
首席で指揮官試験に合格、長く空席だったグレイレイヴン隊の指揮官に選ばれた自分とは違う首席卒業生。

平和そのものの顔で寝ている姿を観察しているとある考えが浮かんだ。

レイレイヴン隊の隊員から聞いたことがある指揮官はぼんやりしているけどやる時はやるタイプだと。

クロムは護身用に持っているナイフ型の高周波ブレードを手に持った、ごく僅かにヴォンとブレードが起動する音が鳴るが構造体の私に聞こえるが人間には聞こえないはずだ。

そっとベッドに近づき指揮官に向かって刃を向けた瞬間に視界が塞がれる。

「なっ!」

投げつけられたのは柔らかい抱き枕それと同時に懐に何がが飛び込んできた衝撃と私の顎下には銃が突きつけられていた。
指揮官は私の胸倉を掴み銃を突き上げたままで呟く。

「なんだクロムか」
「指揮官、起きていたのですか?」
「今、起きた」
「素晴らしい反射神経ですね」
「馬鹿な事言うな寝惚けていたら顎から脳まで一直線に穴が空いていたぞ・・・今何時だ?」
「6時です」
「6時か寝る」
「指揮官!」
「私は恋人に寝首をかかれかけた!傷付いた乙女心は寝ないと治癒しない!」
「指揮官・・・申し訳ありません余りに無防備だったもので、つい」
「悪いと思ったら少し寝かせろ」
「では30分だけ寝坊を認めましょう」
「嫌だ40分」
「君は本当に寝汚いですね」
「恋人を試すやつに言われたくない」

ぷいと背を向けて抱き枕にしがみつく彼女は完全に臍を曲げてしまった様子だった。
この子供っぽい仕草と打って変わった有事における咄嗟の判断と戦闘能力の高さは正に天才のそれだろう。
なんだ自分とは正反対だから好きになったのかと妙に納得した私は愛しい彼女を甘やかす事にした先程の詫びも含めて。

「指揮官」
「なんだ」
「先程のお詫びに今日の朝食は君の好きな物をご用意します」
「本当か?!」
「はい、特別に寝坊も45分まで認めましょう」
「クロム優しい・・・」
「何を所望されますか?」
「エッグ、エッグベネディクトと薄めのコーヒー」
「はい、45分の間にご用意しますね」
「うん!じゃお休みクロム」

すぅと瞬時に眠りに入った彼女を暫く見つめる、今度は起きないだろうか?と不安に思いながら彼女の頭をそっと撫でて髪をひと房掬って口付けた。
ふにゃと答えるように頬を緩ませる彼女を笑みがこぼれる。

「また後程、起こしに参りますね」

クロムは眠姫に暫しの別れを告げ姫所望の朝食を用意するべく足早に食堂に向かった。


口は災いの元<ワタ指>~この願いをあなたは知らない~

今日はワタナベが来る日だ、指揮官は拳を握り今日こそ聞く!と張り詰めた気持ちでワタナベを待っていた。

ドキドキドキドキと指揮官はワタナベを待つ。

「指揮官?」
「ひゃぁああ!」

ワタナベが宿舎の私室に入って来た事に私は気付かずに叫んでしまった。
これって軍人として不味くない?と自信喪失しかけたが今日のワタナベはステルス性の高い例の塗装で・・・最近、お泊まりに来るとリーに捕まって嫌味を言われるからと言っていたのを思い出した。

「き、今日はその塗装なんだな」
「指揮官がオアシスに来る時は夜刃でいいんだが・・・リーがなぁ・・・はぁもしかしてリーはあなたの小姑なのか?」
「リーは私のお母さんじゃないかなって思う時がある」
「どんな風に?」
「ちゃんとご飯食べなさいとか夜更かしして漫画読まない!とかちょっとだけハマってる漫画があるんだ!面白くてつい・・・夜更かししちゃって」

私の話を聞いたワタナベの口がへの字になった!呆れられた??

「それはリーが正しい、だからリーはあなたの保護者目線で私に厳しいのか・・・」
「うっ!なんだかゴメンなさい」

しゅんと項垂れた私の頭をぽんぽんとワタナベが撫でてくれた。
私はホッとした顔でワタナベをじっと見てから前から聞きたかったことを思い切って聞く。

「ワタナベ、そっその塗装で思い出したんだけど!!」
「うん?ちょっと旧型かもしれないがステルス性は抜群だ」
「そっそうじゃなくて!あっアイラさんと知り合い・・・なのか?」
「ああ・・・以前に空中庭園にいた時に何度か任務で」
「そっそうなのか・・・とっところで!だな??」
「指揮官?どうした何かいつもと違う気がするが?」
「あっあの!アイラさんって可愛いな?」
「ああ」
「身長も私より小さいし・・・」
「そうだな?」
「髪も柔らかいピンクだ・・・」
「ピンクだな??」
「・・・・・・・・・胸・・・大きいし、全体的に柔らかそうで・・・」

私はそこまで聞いて口を噤んでしまった。
だって私の髪はどぎついくらいの真っ赤だし・・・身長だって高くて可愛らしくない、鍛えてるから身体だって普通の女の子みたいに柔らかくないのだ。
それに比べてアイラさんの胸柔らかそうで私の胸・・・小さくはないけどあんなに柔らかそうじゃなくってワタナベって正直、私の身体に不満あるんじゃないかなって思っていて・・・・・・沈黙が辛いと俯いていたらまたワタナベが私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。

「指揮官、何か気にしてるのか?」
「うんワタナベは可愛いくて柔らかい女の子が好きなのかなって」
「指揮官は可愛いだろ?」
「そうかな?気が強そうとか・・・デカい女とか筋肉女とか・・・言われてるよ?リーにはゴリラ女って言われ・・・」

ぴくりとワタナベの口元が歪んだ私はまた怒らせちゃった?と慌ててしまう。

「リーは後からよく言い聞かすとして私は指揮官より背が高いから気にしなくていい、筋肉は気にするほどじゃないだろう?指揮官は可愛くて綺麗だ」
「・・・胸は?」
「は?」
「ワタナベは胸大っきい方が・・・いいか?」

じっと私がワタナベを見ていると照れたような顔をしたワタナベが手を動かした。
右手でお椀の形を作るようにして考えているようだ。

「指揮官は・・・これくらいか??」
「ぶっやめろ・・・ワタナベ・・・その手つきおじさんみたい・・・ぷっおかしい・・・」

私はおかしくて吹き出して笑ってしまった。
でもワタナベからはなんの反応もなくて・・・周りの空気が5度くらい下がったような気と悪寒が・・・する?
顔を上げてワタナベを見るとワタナベは無表情で私を見下ろしていた。

「ワタナベ?」
「指揮官、私はおじさんじゃない」
「うん・・・どうしたの?」

そう聞いた瞬間にワタナベは無言で私を肩に担ぎあげた。

「きゃあああ!ワタナベ??」
「指揮官がお仕置き好きとは知らなかった」
「え!なに?何?怒ったのか?」
「指揮官には私がおじさんでは無いことを身を持って知ってもらう・・・」
「やだ!お仕置きはいやー」

その後の私は・・・言いたくない。
とにかくワタナベに"おじさん"は禁句だということを身を持って分からされた事件だったし、ワタナベは巨乳に興味が無いのも分かったので良しとすることにした。

おしまい